XYZと380

店主は明日、ひょんなことから
ロックバンド「エルレガーデン」のコンサートに行くことになりました。
ロック好きの店主でも少々腰が引けてしまうほど
血気盛んな若者向けの荒くれたバンドですが、
現在たいそう人気があるそうです。
このコンサート、「X」「Y」「Z」と会場を3ブロックに分け
チケットにブロック名が記載されていますが、
どのブロックがステージに最も近いか、直前まで発表しなかったそうです。
ステージに近い席ばかりがオークションで高値取引されるのを防ぐため、
バンドのメンバーが考えたことだそうです。
この話を知って、店主は
いや実に、このエルレガーデンさんは
若いながらも思慮深い、立派な方々だと思いました。
比較に出すのも恥ずかしいのですが、
当香港漫画店、商品の価格は
中古薄装本は¥380、ダメージがあれば¥300、新本は¥680…と
ほぼ一律にいたしております。
昔、あるお師匠さんから
「苦労して仕入れているレア本もあるのだから、
そのぶんプレミアを乗せてもいいのでは?」と
助言をいただいたことがあります。
が、やはり当店は、本の体裁に依る一律価格を貫いております。
資本主義経済において、
需要と供給がモノの価格を決定するというのは大原則であります。
が、ここまで資本主義経済が成熟した現代においては、
価格が「高い」「安い」という事象そのものが
モノ自体の価値を越え、イメージとして一人歩きしてしまったりします。
香港漫画店は、そのようにイメージを弄(もてあそ)ぶような
おこがましい立場にはございませんし、
エルレガーデンさんもきっと、
そういった現象を快く思っていないのでありましょう。
いや実に、すがすがしい若人達であります。


…えっ。エルレガーデンのヴォーカルさんは34歳ですか。
若人というには無理がありましたね。どちらかというと店主に近うございます。