京都(2)

さて、2日目は立命館大学主催「国際クロスメディアシンポジウム」に
参加してまいりました。
場所は、日曜のブログでもお伝えしたとおり
東映太秦映画村」。店主もはじめて入りました。
銭形平次」「水戸黄門」など名だたる時代劇の撮影が行なわれてきたこの場所で、
この日は「太秦戦国祭り」が行なわれています。
甲冑武者登場、コスプレ、アマチュアによる戦国武将アクション劇の上演などの
イベントが行なわれていました。
その一環が「国際クロスメディアシンポジウム」。
村内の古式ゆかしい芝居小屋「中村座」を会場に、
金庸先生、大河ドラマ風林火山」のプロデューサーさん、
東映の映画プロデューサーさん、さらに
ゲーム「信長の野望」でおなじみコーエーの社長さんが
「歴史創作」のキーワードの下に集うという、ありそでなかったシンポジウムです。
ところが会場入口に一枚の紙が…
金庸先生は体調がすぐれないため、来日不可能となりました」。


がっかりだよ!!


おもわず桜塚やっくんが憑依しましたが、
無理しておいでになって、玉体にもしものことがあったら大変ですものね・・・


というわけで金庸先生にまみえることはできませんでしたが、
代わりに先生の片腕という、香港・天地図書社長の孫立川氏が登壇され
先生の原稿を代読されました。
その後、金庸作品和訳で知られる早稲田大学岡崎由美教授との
対談が行なわれました。
孫氏いわく、金庸先生は歴史にきわめて明るく
ほかにも薬学・天文学などさまざまな分野の知識をたくわえた
知の泉のような方なのだそうです。
しかし先生をして「武侠小説歴史小説ではない」。
史実をふまえることはあっても
「3つは真実、4つは嘘」というほどに虚のほうが勝っている、
それが武侠小説なのだといいます。
ほんとうの歴史は決して血沸き肉躍るものでも、痛快なものでもない。
が、「嘘」を語るにあたり、そこには基礎として
真実の歴史の知識が不可欠なのだとおっしゃいます。
そしてもうひとつ、書き手自身にゆるがぬ世界観・歴史観が必要だと。
先生にとってゆるがぬ柱、それは「正義感」だそうです。


いやー、深いですね。
その後、他3人のゲストの短い講演もありました。
東映プロデューサー・坂上さんが、この日の
時代劇セットにレイヤーさんが集いはしゃぎ、
中村座に日中2ヶ国語が飛び交う情景を
盛んに不思議がっておられるのが印象的でした。
(いっぽうのコーエー松原社長は「コスプレはインタラクティブ
メディアの最先端だ」的なことをおっしゃっていましたが…。)


しかしなかなか面白く、有意義なシンポジウムでした。
小説、映画、ドラマ、ゲームという
この世に出現した時期もまちまちな4メディアの創造者が集うというのは。
しかし「自ら信じるところに立ち、面白いものをつくる」という姿勢は
全員同じでした。
えーと、この4メディアと比べると、
コミックは、映画とドラマの中間ぐらいに出現したメディアといえましょうか。
しかし世に問う形式は違っても、
面白く、意義あるものを出していくのは同じだと思うと
背筋の引き締まる思いがいたしました。


しかしいつかまた、金庸先生にまみえる機会を期待したいですね!!