実はそんなに怖くない

はい。新入荷UPしました。
「九龍城寨」の近刊、一挙入荷でございます。
あの萌え萌え美少女や美形殿方キャラを描き続け
香港漫画ファンのハートを燃やし続けてきた司徒劍僑が極道もの!?
と、最初はちょっとオドロキでしたが、
回を追うにつれ、白熱のアクションシーンが
あまりに速く、強く、美しく、
胸のすくような画面となっております。
どうぞご堪能くださいませ。


さてこのお話の舞台となっている九龍城砦とは、
カオルーン半島・九龍城地区の北東部、
旧空港の北西あたりにばばーんと建っていた
大老朽寄せ集めビル群でありまして、
1993年ごろに立ち退き完了・取り壊しとなってしまいました。
跡地はきれいな公園となっています。
店主は取り壊し寸前の92年ごろに、外観だけ見た記憶がございます。
写真も撮ったのですが、
現像せずフィルムを放りっぱなしにしてしまいました。
惜しいことをしました。
ここは当時の宗主国・英国政府も、中国政府も、香港政庁も管理しない
「三不官」の場所といわれ、
違法商売や犯罪稼業が集まる「魔窟」といわれていました。
コミック中でもありし日の内部のようすが活写されているようで、
取り壊し3年後に出版されたビジュアルブック
「大図解 九龍城」(岩波書店刊・絶版)と見比べてみても、
「きっとリアルなんだろうなあ」という気がいたします。
ただ劍僑たんが現地へ、内部に入ったことがあるとは考えにくいですね。
舞台となっている90年代初期、
劍僑たんは「殺剣」「賭神」連載や「超神Z」の準備など
すでに漫画家さんとして忙しく、カンヅメになっていたはずですから。
しかし、入ったらすぐに物盗り・殺人・強姦などのような
危険な目にあう場所ではなかったわけで
(もしそうなら近くへも行けませんよね)、
漫画や上記の本、そして元住民の体験記を総合すると、
いまも香港に当たり前にある、
住居や小さな商業施設がゴッチャゴチャにひしめく老朽ビル。
あれを極限まで密度を高めただけのものだったようです。
で、ただ単に上下水道などのインフラがなくて、
あとオマワリさんが来ないので好き勝手やれた、と。
もちろん自警組織はちゃんとあったようですが。
ところでここにお住まいになっていた日本人がおられます。
さいたま市議会議員、先日の市議選ではトップ当選まで果たされた
吉田一郎さんで、
店主はこの方が編集人をしていた
「香港通信」という雑誌が大のお気に入りでした。
この方の居住体験記はむかし「地球の歩き方」にも載っていましたし、
単行本「香港街伝」(これも絶版・・・のはず)、
WEBインタビューでキャッシュが残っているものもありますので
ご興味のある方は探してみてください。