懐かしいって言わない

はい。新入荷UPしました。
今回は少々趣向を変え、
ちょっとボリューミーで個性派の作品を
「レトロ」の統一テーマのもとに3つ集めてみました。
香港庶民の生活舞台「屋邨」の思い出を仔細に描いた「大日本人2」、
今も香港に息づくレトロと、未来を描くモダンを集めた作品集「土製香港」、
そして半世紀にわたって地元のちびっこに愛されてきた雑誌「児童楽園」の連載漫画「小圓圓」です。
実は最近香港でもちょっとした「レトロブーム」が起こっていて、
しばらく見向きもされなかったような懐かしの飲み物やお菓子、茶餐庁メニューが
突然リバイバルで流行ったりしてますし、
「香港の歴史を足元から見つめなおそう」という気運が
高まっているような気がいたします。
香港人としてのアイデンティティを強化しようという思潮の
一つの現れでもあるのでしょう。
さて今回UPした作品群は、地元香港人なら「懐かしい!」と感嘆、
我々日本人には新しい発見がいっぱい、というものですが、
そういえば店主、プライベートの生活で
今年ほど「懐かしい!」と口にした年はなかった気が致します。
なぜか昔を懐かしむような事柄であふれておりました。
テレビドラマ「あまちゃん」では昔の歌謡番組が次々と映像に使われるし、
友人や仕事の先輩や担当者など十数年ぶりの再会という沙汰がいくつもありましたし、
母校の学祭に行ったし、来週は15年ぶり再結成のバンドのライヴに行くし、
テレビの年末音楽番組も懐メロばかりだし、
とどめをさすように中高生時代熱中していたラジオ番組がふいに復活して
昔のハガキ職人時代を思い出して投稿したら読まれてしまうし…
そのたびに「懐かしい!」と歓声をあげていたような気がいたします。
が、しかし。
年の瀬に身を置き、店主はそろそろ気づき始めております。
懐かしさから新しい物はほとんど生まれないと。
こんなことでは5歳児・野原しんのすけに叱られてしまうと。
皆様「クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」の映画を御存知でしょうか。
郷愁に身をとられ、集団で我を失ってしまった大人たちと
それを操っていた黒幕に敢然と立ち向かったしんちゃんが
終盤、勇気の一言を言い放つのです。「オラはオトナになりたいゾ!」と。
郷愁ではなく、未来への希望を敢然と宣言するのです。
たぶん店主もイエスタデイワンスモアに操られているのでしょう。
というわけで来年のことを言うと鬼が笑いますが
店主は早くも2014年の誓いを決めました。
『「懐かしい!」って言わない』です。
「懐かしい!」と口にする時、なんとも言えない甘美な気持ちよさを感じるのは
たぶん店主だけではないと思われますが、
敢えてそれを断って、新しいものを探求しようと思います。
古いものに触れたら「懐かしい」といわずに「古い」といい、
それが良いものなら「古イイ」といい、
ただ古いだけのものなら「古くさい」というようにして、
それでもつい「懐かしい」と言ってしまったら、
罰金として100円玉を貯金箱に入れようと思います。
たぶんそうとう貯金箱が重くなることでしょうが…
貯まったお金で、来年末には
新しい歌手のCDや新しい漫画、新しいアニメの円盤を買おうと思います。