連環画見てきました

はい。金曜日に新入荷UPしたあと、音沙汰がなくてすみません。
今回UPした「熱血少年週刊」、お楽しみいただけましたでしょうか。
香港独立、反中国共産党を明確に掲げる黄洋達。
2013年、「PASSION TEENS」を9号にわたって刊行した彼らが、
週刊化して漫画雑誌に帰ってきたわけですが、
その間に香港は「雨傘革命」という大きな出来事を経験しました。
この黄洋達も、運動のメインリーダーとなる学生たちとは一線を画していましたが
かなり先鋭的な活動をしました。
今回UPしたのは、ちょうど催涙弾87発が撃ち込まれた週の発売分までになります。
繁華街占拠はその後のことになりますが、
普通選挙獲得運動がだんだんと緊張感をおびていく様が
漫画やコラムからもたちのぼっております。
貴重な世相の記録としてご覧いただければ幸いです。


さて店主はこの2日間、お休みをいただいてしまいましたが
何をしていたかと申しますと、
京都国際マンガミュージアムに行っておりました。
大陸(中華人民共和国)産「連環画」の特別展示があったのです。
連環画とは何か?
当店「香港コミックとは?」でも少し説明しておりますが
一枚絵で下や横に説明文のついた、豆本スタイルの絵物語です。
香港では70年代ごろに絶滅してしまいましたが、大陸では刊行が続いています。
(もっとも近年は復刻版ばかりで新作の刊行は殆どないようですが)
店主が香港漫画家の歴史証言インタビュー集「港漫回憶録」を翻訳中というのは
前にもお伝えしましたが、
はじめの章で香港の連環画制作現場のことが詳しく語られるのです。
もっと連環画のことを詳しく知りたい、
と思っていたところ、渡りに船のこの企画。
勇んで出かけました。
行ってびっくり、展示の中心は共産党のプロバガンダ作品でした。そして西遊記
大陸の連環画はほかに水滸伝三国志、楊家将といった古典中の古典、
70年代後期からはハリウッド映画や日本ドラマ、少年少女向け外国小説、そして日本漫画の無断流用が主で
武侠もの(金庸古龍あたり)はモチーフにならなかったそうです。
香港では梁羽生小説の連環画化などあったらしいのですが。
制作体制ひとつとっても、徒弟制・家内工業的にほそぼそやっていた香港とは対照的に
大陸ではなんと毛沢東の号令のもと、
国の芸術政策の基幹に位置付けられていたそうです。
青少年教育の美術カリキュラムに「連環画制作」が織り込まれていたのだとか。
共産党が支持基盤を農村・非インテリ層においていたため、
「ふさわしいメディア」として毛に重用され、
のちに大画家として名を成すような人物も制作に駆り出されていたそうです。
ゆえに現在「あの有名美術家の作品!」などといって
コレクター市場で法外な高値がついたりするそうです。
現代大陸らしい話ではありますが…
互いの連環画生産事情を知れば知るほど、
違いが際立ち、互いをとりまく環境の差異に気づくという結果になりました。
行ってよかったと思います。
いろいろお話聞かせてくださった京都国際マンガミュージアム学芸員様・研究員様に
感謝いたしております。