香港漫画がハジカない理由

はい。新入荷UPしました。
今週はちょっと少ないですが…
馬榮成の新作「風流」が入りました。
昨年、天下出版ツートップの一角だったロングラン名作
「黒豹列傳」がついに完結し、
新作が待たれていましたが、
7月からついにハードボイルド現代ものアクション「風流」が始まりました。
「風流」といえば、馬榮成が
「中華英雄」を始める前、1979年に新聞連載したものの復刻版を
当店でもずっと在庫しておりますが、
今回は単なるリメイクではなく、
登場人物や設定を流用しながらも、お話はぐっとふくらませています。
のっけから誰が敵?味方?入り乱れる愛憎で、
たいへんスリリングな展開となっております。
どうぞおたのしみに!


ところで「風流」の表紙をごらんになって
お気づきの方もおられましょう。
主人公の二大殺し屋がピストルをかまえています。
これ、香港コミックではとっても珍しいことなのです。
殺し屋さんが商売道具を持っているのが
どうしてそんなに珍しい?とお思いでしょうが、
あれほど常にバトルを繰り返している香港コミックでも、
銃は武器としてめったに登場しないのです。
「海洋」(温日良や鄭健和の描いているところですね)は
現代ものハードボイルドアクションが主で、戦争シーンもしばしばあるので
ライフルや狙撃銃は時々登場しますが、
それにしてもピストルは使用頻度は低いです。
黒社会ものも、現実的には
そういった業界とトカレフカラシニコフetcは切っても切れないご縁ですが
なぜか漫画では、青竜刀や太刀など刃物関係で皆さん戦っておられます。
なぜでしょう?
店主は前に一度考察したことがあります。
そしてたどり着いた結論が、
「銃は、遠距離から敵をうつ武器だから」。
刀剣や掌法、キックやパンチで敵を攻撃すると
必然的に近接戦になります。
戦うにつれフルコンタクトに持ち込むことが多いですね。
そういうバトルは、つねに人物の全身を描く香港コミックでは
「絵になりやすい」のです。
香港の漫画は伝統的な「連環画」の構図が今も生きていて、
登場人物全員の、全身の姿をひとコマに描き込みます。
敵と味方が両方ともひとコマ内に描き込まれてこそ、なのです。
銃をかまえて、距離を置いて向き合っていると
敵と味方のあいだの「間」が開きすぎちゃって絵にならないんですね。
でも「風流」の二大殺し屋は得物がピストルですが
かっこよくバトっていますよ。
ピストルに入った紋様もかっこいいですね。特注で入れてくれるんでしょうか。
店主はそういうわけでハジキ関係にはまったく疎く、
絵を見ても種類や名前、メーカーがわからないのですが。
(わかる方教えて下さい!)