ちょっと前の香港を見に行こう!

はい。新入荷UPしました。
「九龍城寨2」近刊をどどっと入れてみました。
創刊号も再入荷し、充実のラインナップでございます。
ただいま、「九龍城寨」シリーズをはじめ
司徒劍僑の「THE ONE COMICS 一漫年出版」執筆作品を
どれでも1000円以上ご注文いただいた方に
直筆(生!)サイン入りポストカードを進呈しております。
どうぞこの機会に、司徒劍僑ワールドをまとめてお楽しみ下さいませ!


さてこの「九龍城寨」シリーズの魅力といえば、
これまでの黒社会ものの常識を打ち破った
スタイリッシュなイケメン若ヤクザたちの活躍でございますが、
もうひとつ、「ちょっと前の香港」の街並みを活写しているのも
大いなる見どころのひとつでございます。
タイトルになっている「九龍城寨」は
1993年に取り壊しになった九龍半島北東部の巨大ビル群でして、
漫画もここの立ち退き・取り壊しが始まる寸前の、1980年代末〜90年代はじめが舞台です。
登場人物はごっつくて巨大な携帯電話を持ち歩いております。
その当時の街の風景を、意外と忠実かつ精緻に描いているんですね。
店主も初めての香港入りは1989年でしたが、
ページをめくると、当時の印象がなんとなく甦ってまいります。
たかが四半世紀前。今と大して変わらないのではないか?と思われるかもしれません。
が、ここ数年で確かに速度を上げながら、香港の街は変わりました。
返還後、街の再開発・都市デザインに
確実に中国大陸式の考え方が入り込んできています。
大陸は土地が広く、建物も大ぶりなものを惜しみなく造ることが出来るので、
香港でも埋立後の新興地区に
スペースの使い方が大づかみで、サイズばかりを競うような建造物が増えました。
埋め立て地ばかりでなく、植民地時代からあった繊細な建築物を
老朽化を理由にあっさり壊しては
そういった大味な建物をおっ立てております。
尖沙咀の古い繁華街を悉く壊して造った「K11」などその象徴で、
ゆえに店主はあまり好きになれないのでございます。
「九龍城寨」には四半世紀前の裏町、下町、
ほこりっぽくて小暗くて、大資本チェーン店の明るさも清潔さも見あたらない街角が出てまいります。
それは例えば、同じ四半世紀前の香港ガイドブックを古本屋で求めてめくっても
なかなか掲載されていない情景でございます。
なぜなら当時の香港旅行は専らブランド店と超高級料理店をめぐるばかりのもので、
それら以外はひっそり隠されていたからでございます。
当時の日本はバブルに浮かれておりました。


そんな部分からも
「九龍城寨」シリーズ、おすすめでございます。