私は誰?

はい。新入荷UPしました。
馬榮成、90年代の傑作SF短編「神王」、まさかの続編がまいりました。
今回は馬榮成はプロデュースに回り、
「風雲組」ともいうべき天下出版の精鋭漫画家たちに健筆をふるわせていますが、
その深いストーリー世界、
とっぽくて端正で迫力ある絵柄はそのままでございます。
どうぞお楽しみ下さいませ。
残念ながら「風雲」の連載終了と同時に
執筆活動の終了も宣言してしまった馬榮成ですが、
この「神王II」や昨年の傑作「風流」を見るにつけ、
あまりにもったいないと思えてなりません。
そう、馬榮成は「風雲」のような武侠作品ばかりでなく
SF作品にも多大なる思い入れがある方だったのです。
「風雲」を近未来SFにアレンジした
「神武紀」という作品が2004年に発表されておりますが、
これも馬氏がありあまる情熱のもとに制作したものであります。
そんな馬榮成のSF作品群を見ておりますと、
登場人物の「私は誰?」という問いかけがしばしばみられるような気が致します。
時空の歪みに落ちる。あるいは、進みすぎた仮想現実の世界に取り残される。
そうした事情を経て
自分を自分で俯瞰し、なくした自我を探すようなシーンが多いような気がします。
「私は誰?」とは、
忙しすぎる画業/出版社経営業の中でも
自分自身を明確に見ていたい馬榮成氏の、あるいは心の声だったのかもしれません。
創作をおやめになり、経済活動に専心なさる馬氏が
その問いに明確な答えを見つけられれば、
それは喜ばしいことかもしれませんが、
できれば答えを見失って、また創作活動に答えを見つけようと
戻ってきていただく的な流れに…
なると良いと思いませんか?