甘いのです

はい。新入荷UPしました。
「中華英雄」オリジナル版・精装合訂本、ほんとうに久々の入荷です。
といっても「復刻版に前傳に2013にCRIMSON REGEND…
いったい何がどれなんだー!」というぐらい多種多様な本が出ている「中華英雄」。
少々お迷いのお客様もいらっしゃると思います。
ここでちょっと、ストーリー進行の時間軸にのっとって
「中華英雄」関連作品を順番に並べてみましょう。


・精装合訂本「浪跡天涯篇」=「中華英雄前傳」(2006年薄装本)
《1983年、漫画『酔拳』巻末連載分》

↓←このあたりのお話をクローズアップしたのが、鄭健和版「中華英雄前傳」(2009年薄装本)

・精装合訂本「英雄無敵篇」(※当店未入荷)=「中華英雄 数碼復刻版」(2006年薄装本)
《83年、薄装本にて独立連載開始後分》



・精装合訂本「天熬孤星篇」
・電影漫畫版(1999年薄装本。自由の女神の戦いを中心に描写)



・精装合訂本は以降も「火鳥島篇」など多数刊行(当店未入荷)
《〜1989年 馬榮成執筆終了まで》


・「中華英雄2013」(薄装本。オリジナル・アフターストーリー)
・「CRIMSON REGEND 中華英雄」(2013年薄装本。オリジナル・アフターストーリー)


というわけで2006年刊行の薄装本とオリジナル精装合訂本は
内容は基本的に同じなのですが、
執筆当時の生々しい筆づかいを味わいたい方・
コンパクトにまとまったオトクな本をご希望の方には精装合訂本、
きれいなカラー画面でワイドに楽しみたい方には復刻薄装本をおすすめいたします。


ところで…
「中華英雄」はカラー薄装本という体裁で1980年代に連載されました。
今回UPの合訂本は当時の連載原稿から色データのみ抜いて
スミ1色刷りで出版されているわけですが、
とある巻において、本をよく見ると
ところどころにコピー原稿とおぼしきページが見受けられます。
正規版元「文化傳信」が出しているというのに…
オリジナル原稿から起こしていないページがあるんですね。
落丁・乱丁のたぐい、編集ミスや印刷エラーではございません。
馬榮成の初期作品復刻本には
はじめから「オリジナル原稿散逸のため、連載時の新聞紙面から起こして構成」と
明記されているものもあるんですが
(「風流」「五兄弟」がそうですね)、
そういう但し書きなしにコピー原稿のページが差しはさまれると
「とほほ…まあこれが香港漫画界なのだが…とほほ」と思ってしまいます。
香港漫画界は生原稿の管理がとっても甘いのです。
どれくらい甘いかと申しますと
店主がとある有名作品の生原稿の一部を持っているぐらいです。
「はい。あげます。」といって持たされてしまったのです。
トーン貼りやホワイトの跡もなまなましい、某有名漫画家の完成原稿を。1ページ分だけ。
「こんな貴重なもの持って帰れません!」と丁重におことわりしたのですが。
ほかにも、90年代には有名オタクビル「信和中心」の店頭で
生原稿が売買されていたという証言があるほどです。
漫画も貴重な文化遺産なので
もっと厳重に管理し、後世に残して欲しいのですが、
それをお願いしようにも
出版社の離合集散が激しすぎて、作っていた人間ごとどこかに散ってしまうのでは
それもままならず…困ったものです。
香港らしい話、で片づけてはいけない問題なのですが、ね。