香港製造

はい。新入荷UPしました。
地元ファンも漫画関係者も、そして店主も面白さを保証する鄭健和の
2014年新作「大軍閥」が登場です。
「今回のもイイよ!」地元の漫画屋さんがバチコーン!とウィンクしておりました。
確かに今作もストレートに引きつけてきます。冴えています。
しかしかなりタイムリーな内容なので驚いてしまいました。
イムリーといえば、今般の香港をご理解いただくのに
なにか助けになりそうな買付け品は、と思い
1984年の香港返還調印をテーマにした社会派作品
「温水1984劇場」もUPしてみました。
ヘヴィな内容ではありません。さらりと乾いた風刺が、かえって印象的です。
お楽しみ下さいませ!


さて、香港に催涙弾が炸裂して明日で2週間です。
意志を貫徹するまでは石にかじりついてでも道を占拠し続ける、と意気軒昂な人々と、
道をふさがれて商売あがったりで困りはてている人々。
香港人どうしをますます深刻に分断しているようです。
こんなことになるとは店主も思っておりませんでした。
大陸の、北京政府の横暴に立ち向かうためには簡単に道をあけてはいけないと思うし、
かといって占拠されている道の周囲には馴染みの漫画店があって商売あがったりなのが可哀想でならないし、
どちらも店主のいつわらざる気持ちであり、
だからこそ苦悩は深くなるばかりでございます。
どちらに与するのもよしとせず「もやもやする」と、
あるいは「モヤッとする」といった物言いが今般流行りのようですが、
店主はもやもやもモヤッとも致しておりません。
白黒はっきりと分かたれた線の上で悩んでおります。
悩ましいからこそ、今回の件に関して
いかなる運動や啓蒙活動に参加する意図もございません。
民主化を求める香港の学生に賛同し、
日本から「香港人を応援したい」とお思いの方も少なからずおられるでしょう。
こんな時「香港の漫画を買って、香港人を応援しよう!」などと
商売上手な方ならキャンペーンを始めるのかもしれませんが、
ご存じのとおり当店は商売が下手でございます。
そも、当店の漫画作品をお買い上げいただいても香港人の支援にはなりません。
なぜなら当店在庫はすでに日本の香港漫画店の所有物だからです。
当店が所定の仕入計画に基づいて、今回の運動勃発前から香港に行って
当店の資金で買付けてきたものでございます。
売れれば香港漫画店は儲かりますが、香港人の支援にはなりません。
運動資金の募金を海外から受け付けているという話も伝わっておりません。
ただ、香港人が制作した漫画をごらんいただくことで、
香港人がなにを考え、どう生きているか」を知る一助にはなると思われます。
一連の報道の中で、日本のジャーナリストや学者さんが
香港人とは」「一国二制度とは」と真剣に論じているのを見て、
これでやっと「中国と香港は違う」ということが皆様におわかりいただけたと思いました。
これまで店主は家族や知人に
「そんなに香港にしょっちゅう行って、あなたは中国がとても好きなのね。
だって香港は返還されて中国の一部になったんでしょう?」と
幾度となく言われてきました。
違うんだ、私は中華人民共和国など大嫌いなのだといくら言っても
いまひとつ理解してもらえなかったのですが、
こうしてテレビの中の方々から言っていただけるようになったので
今後はそういった齟齬も薄れることでしょう。
では「中国人」ではない「香港人」が何を思っているか?
剣に乗って空を飛んだり、波動拳でスタジアムを破壊したりする漫画作品を読んで
果たしてご理解いただけるかどうかは店主にもわかりませんが、
ともあれ当店の在庫は「香港製品」でございます。
お楽しみいただければ幸いでございます。