あとは通粉があれば

はい。新入荷UPしました。
寡作、しかも商業出版シーンに背を向け
気の向くままにしか活動せぬゆえ、当店でもめったに入荷のない
黎達達榮の1999年作品でございます。
未来SFもので、彼の作品の中ではかなり読みやすいほうに入ると思われます。
お話に起伏があり、グイグイと引き込んでくるものがございます。
当店も時々、黎達達榮公式フェイスブックページをチェックしておりますが
新作情報はなかなかございません。
いつか新作の入荷を果たすまで、
今回の「魔笛」でお楽しみ下さいませ。


さて最近、香港ファンを騒然とさせている一軒のお店。
東京・飯田橋の「香港贊記茶餐廳」です。
茶餐廳。店主、出張時の友でございます。
香港そこらじゅうにある喫茶と軽食の小レストランで、
「氷室」という呼び方もございます。
コーヒー(ミルクたっぷりでほぼ肌色〜白色)、紅茶(左に同じ)、
鴛鴦茶(珈琲と紅茶とミルクを足したもの)、レモンティー(レモンスライスが異様に多い)、
阿華田、好立克(ともにミロと同様の麦芽飲料)、レモンコーラ、
菜蜜(よくわかりませんが甘い飲み物)といった物をのませ、
朝はセットで目玉焼きとハムorランチョンミートとスープマカロニまたは即席めん、サンドイッチ、
昼や夜はちょっとしたおかずとごはんを食べさせるお店です。
店頭のガラスケースで甘いパンや蛋撻(エッグタルト)を販売していたりもしますが
これらをイートインできる店と出来ない店があります。
最近はイートイン可が増えて、3時のおやつにも重宝します。
まあ、せっかく香港に行くのならもう少し特色あるご馳走のお店に入りたいものですが、
時間的にもフトコロ的にもそれが許されない際に利用いたします。
最近の出張ではとみにそういう局面が増えてきました。
ちなみに香港でいちばん「広東語しか通じない場所」でございます。
こちらが一生懸命メニューを広東語で言っても
店員から「声調が違うよ!」とばかりに正しい発音で言い直されます。
世界一の広東語発音矯正施設ではないでしょうか。
で、なにが申し上げたいかといいますと、
そういうお店が東京・飯田橋にオープンしたのです。
まさに上記のごとく描写したとおりのお店が。
さすがに広東語でなくとも注文を聞いてもらえます。日本にあるので。
しかし厨房から聞こえてくるのは真正の広東語のみでございます。
またメニューも上記のとおりでございます。麺とマカロニがないだけです。
ある夕暮れ、有楽町線に乗らむと地下を歩きながらツイッターを見ていた店主は
アスキーの遠藤氏のつぶやきに釘付けになったのでございます。
たいそう香港らしい茶餐廳をおとずれた、と。
ちなみに氏の奥様は香港関係の御著書多数の原智子さんです。
店主は即、有楽町線を途中下車いたしました。
かの店は本当に「阿華田」をメニューに載せていました。


「阿華田あるんですか?」
「阿華田ご存知なんですか?」


それだけで通じ合ってしまう世界が、そこにはありました。
蛋撻とともに頼みましたが、たいそうお値打ちで、
ひょっとしたら香港より安いのではないでしょうか。
三日とおかずにまた訪れてしまいました。
その後、香港ファンの皆さんにまたたく間に知れ渡ってしまったようで
いまや行列まで出来ていると聞きます。驚きました。
そう並んでも食べたいような
天上の美味を扱う類のお店ではございません。茶餐廳は、そもそも。
ただ「香港らしい」のは確かですね。
こうまでズブズブに香港に浸っている店主が申し上げるのですから、
信用していただいても良いと思います。
あと、これは出来ればあまり大声で
申し上げたくないことなのですが…
西多士=フレンチトーストは
香港のそのへんの店より美味しゅうございます。こちら。