香港の漫画雑誌事情

はい。新入荷UPしました。
香港の漫画雑誌「漫道週刊」、初期6号分が手に入りましたのでUPです。
また、トップには書いておりませんが
同じく漫画雑誌「大渡画集」も創刊号を追加しております。
「漫道週刊」は本年3月をもって休刊になってしまいましたが、
より新人発掘オーディションの色彩を強めた「漫道BATTLE」に
リニューアルされておりますので、
版元はまだまだやる気たっぷり、心配無用のようです。
(「大渡画集」も掲載作品のほとんどが独立刊行され、
役目を終えたということでしょうか?今は刊行されておりません。)


さて、香港は
「漫画雑誌」の刊行がとても少ないお土地柄でありました。
つい最近までは、幼年向け「CO-CO!」と東立香港の「新少年」、
そして2年前に「Comicフェス」に衣替えしてあっさり休刊した少女誌「Comic Fans」、
この3誌ぐらいしかありませんでした。
火狗工房の「Speed Up!」も、一漫年出版の「ONE COMICS」もあまりに短命でしたし、
上記3誌も日本の雑誌との提携連載があったから「もった」ような気が致します。
なぜでしょう?
やはり1作品1冊の「薄装本」スタイルが1960年代以来の伝統で、
読者も制作現場もこれにすっかり慣れてしまっているので、
多作品掲載の雑誌は購買習慣がない、版元も編集ノウハウがない、
そしてなにより編集者の「やる気がない」のが理由だったようです。
せまい香港、漫画家の数も限られるので、
作品を集め、週1話を生産できるアシスタント体制を確保するのも大変だそうですし。
それでも香港では今までに数度「漫画雑誌」刊行ブームがあったそうです。
最初は1973年前後。
この時は、ほどなくして書籍における暴力・エロ表現を規制する法案が通りそうになり
「雑誌じゃなく、新聞として刊行すれば『書籍取締り』から逃れられる」と
関係者は考え、一斉にタブロイド判漫画新聞へと移行してしまいました。
つぎは80年代なかば。
「壽星仔」という大ヒットギャグ漫画を描いた上官小強が、
ものすごい情熱を注いで総合漫画誌「小強漫畫集」を刊行しました。
執筆陣が異様に豪華で、
李志清、邱福龍、利志達、「古惑仔」を描いた牛イ老、
「BAND5」の狄克、「無尿道」の甘小文、「風雲」のアシスタント少傑等が集っていました。
しかし諸々の理由で上官小強がやる気をなくしてしまい、
あとを継ぐ者もなく、そこで終わってしまいました。
そして現在。
気づけば「漫道BATTLE」に「熱血少年週刊」、
拓植社の「HERO」「Angel」にもオリジナル漫画がのっていますし、
「新少年」「CO-CO!」も健在で、気づけば時ならぬ漫画雑誌ブームです。
売上は昔に遠く及びませんが…。
いまの漫画界を「これではいけない。なんとかしたい」と思う
現場の人々のやる気の表れかもしれませんね!
どうぞお楽しみ下さいませ。